PROFILE No.004 ミジュマル
20代 / 高専卒の物語

孤独な研究室から見つけた、本当にやりたい仕事

プロフィール No.003

ひまわり Himawari

飲食店で育まれた効率思考、高専での学び、研究職としての違和感、 そして母校への帰還へ。
自分が納得できる道を選び続けた先に、 今の働き方がつながっていくキャリアストーリーです。

ニックネーム
ひまわり
年齢
20代
性別
女性
出身校
神戸高専(応用化学科)
現在の職業
学校職員
経歴
神戸高専(応用化学)→ 神戸高専専攻科(応用化学) →  塗料メーカー(研究開発部門)→
事務職員 (産学連携コーディネーター)
自己紹介
高専・専攻科で化学を学び、卒業後は大手化学メーカーの研究職へ。安定した環境にいながらも、「もっと人と関わり、自分が納得できる働き方がしたい」という想いを大切に、思い切ってキャリアチェンジしました。現在は母校の高専職員として、企業と高専をつなぐ仕事に携わっています。進路に迷った経験、研究職のリアル、転職、そして遠回りしたからこそ見つけられた“自分に合う仕事”について、率直にお話しします!
CAREER STORY No.005 ひまわり Himawari

理想のキャリアを追いかけた先で、
「自分が納得できる働き方」に出会った

理科への興味から神戸高専・応用化学科へ進み、 専攻科、大手化学メーカーの研究職を経て、 現在は母校・神戸高専の事務職員として働くひまわりさん。
一見すると順調に見えるキャリアの中で、 何度も「本当に自分に合っているのか」と考え続け、 最後は肩書きや安定ではなく、自分自身が納得できる働き方を選びました。 その歩みを6つの章からたどります。

CAREER FLOW
飲食店の手伝い 神戸高専・応用化学科 神戸高専専攻科 大手化学メーカー 研究職 キャリアへの違和感 神戸高専へ転職 高専事務職員
01 幼少期〜中学
原点

人と関わる日常の中で育った、
効率と思考の原点

ひまわりさんは、 幼い頃から両親が営む飲食店を手伝いながら育った。

放課後になると店に立ち、 大人たちの会話を聞きながら料理を運び、 空いた皿を下げる。

ただ言われたことをこなすのではなく、 店全体を見ながら 「どの順番で動けば一番スムーズなのか」 を自然と考えるようになっていった。

誰にどのタイミングで声をかければいいか。 どう動けば無駄が減るのか。 そんなことを考える時間そのものが、 いつしか彼女にとっての“遊び”のようになっていた。

一方、親に勧められて続けていたピアノは、 どうしても心から好きにはなれなかった。

それでもすぐに投げ出すのではなく、 最低限の練習で発表会を乗り切る方法を考える。 そこにも、幼い頃からの 合理的に物事を考える一面が表れていた。

中学ではバスケットボール部へ入部。 最初は知り合いもおらず戸惑ったが、 父に教えてもらいながら少しずつ上達し、 仲間との距離も縮まっていった。

そんな中、進路について調べている時に、 ひまわりさんは 「高専」という学校の存在に出会った。

幼い頃から育っていた力

周囲を観察しながら、 「どうすればもっと良くなるか」を考える習慣。 現在の仕事にもつながる思考の原点だった。

02 高専
憧れと挑戦

憧れの白衣から始まった、
想像以上に濃い高専生活

高校の一覧を見ていた時、 目に留まったのが 「高等専門学校」という文字だった。

家から近い。 理系の勉強ができる。 就職にも強い。

もともと理科が好きだったひまわりさんにとって、 高専は魅力的な進路だった。

そしてオープンキャンパスで神戸高専を訪れた時、 白衣を着た学生たちや、 本格的な実験設備を目にする。

「ここで勉強してみたい」

その瞬間、 神戸高専・応用化学科への進学を ほぼ心に決めた。

しかし、憧れを抱いて入学した高専で待っていたのは、 想像以上に密度の高い授業だった。

90分授業。 速い授業進度。 週に何度も行われる数学。

中学校までとはまったく違う学び方に、 最初はかなり苦しんだ。

想像以上に、濃い。

そんな高専生活を支えてくれたのが、 バスケットボール部だった。

分からない勉強は先輩に教えてもらい、 放課後は仲間と一緒に体育館で汗を流す。 少しずつ、高専という環境の中に 自分の居場所を見つけていった。

近畿高専大会では決勝まで進んだものの、 あと一歩で全国大会を逃すという悔しさも経験した。

勉強も部活も簡単ではなかったからこそ、 仲間と支え合いながら乗り越えた時間は、 ひまわりさんにとって濃い5年間になっていった。

高専生活で得たもの

一人ですべてを抱えるのではなく、 周囲の人に頼りながら前へ進む力も身につけていった。

03 進路選択
迷い

就職するはずだった未来に、
初めて迷いが生まれた

高専4年生になる頃、 ひまわりさんは就職を前提に 企業研究を始めていた。

もともと高専を選んだ理由の一つが、 「就職に強いこと」だったからだ。

しかし、企業の展示会などへ足を運び、 さまざまな会社について調べても、 なかなか「ここに行きたい」と思える会社が見つからなかった。

周囲の同級生が 次々と自分の進路を決めていく。

その中で、 自分だけが 「本当にやりたいことが分からない」 ような感覚になっていった。

そんな時、 すでに就職した先輩から聞いた話が 大きな転機になる。

本科卒で化学系企業へ就職した場合、 製造ラインなどの現場配属になるケースも多いという現実だった。

ひまわりさんがやりたかったのは、 製品の安全性を守り、 データを確認しながら改善を考える 「品質管理」の仕事だった。

「本当にやりたい仕事へ近づくなら、もう少し学んだ方がいいのかもしれない」

そこで選んだのが、 神戸高専専攻科への進学だった。

周囲の流れに任せるのではなく、 自分が納得できる形で進路を選びたい。

その思いが、 就職予定だった未来を大きく変えることになった。

進路選択の軸

「就職できるか」ではなく、 「自分のやりたい仕事に近づけるか」を 初めて本気で考え始めた。

04 専攻科〜就活
努力と選択

努力の先でつかんだ、
理想だと思っていたキャリア

専攻科への進学には、 成績やTOEICなどの条件があった。

特に苦手だった英語には苦戦したが、 必要な条件をクリアするため、 改めて勉強と向き合った。

そして無事に専攻科へ進学。

それは、 努力することで自分の選択肢を増やせる ということを実感した経験でもあった。

ところが、 専攻科へ進学した直後に訪れたのが コロナ禍だった。

授業はオンライン。 研究室へ行ける日も限られ、 これまでとはまったく違う学生生活が始まった。

それでも、 高専本科から一緒に過ごしてきた仲間たちがいたことで、 孤独になりすぎることなく乗り切ることができた。

そして就職活動では、 今度こそ明確な軸があった。

品質管理の仕事に就く。

その軸を持って企業を探し、 希望する職種のある 大手化学メーカーから内定を獲得した。

高専本科で進路に迷い、 専攻科へ進学し、 苦手な英語とも向き合った。

その努力の先で、 ようやく自分の望んでいた未来に たどり着いたように思えた。

この時の実感

努力は、 できなかったことを可能にするだけでなく、 将来の選択肢そのものを増やしてくれる。

05 社会人
理想とのギャップ

恵まれているはずなのに、
消えなかった違和感

大手化学メーカーへ入社し、 初めての一人暮らしと 新しい土地での社会人生活が始まった。

入社後の研修では、 高専や専攻科で身につけてきた 論理的なレポート作成力を評価された。

その評価は、 自分のこれまでの努力が社会でも通用するという 自信につながった。

ところが、 その評価が思いがけない形で キャリアを変えることになる。

品質管理を志望して入社したにもかかわらず、 打診されたのは 研究職への配属だった。

本当は、断りたかった。

しかし、新入社員として その場の空気に逆らうことはできなかった。

こうして始まった研究職の日々は、 静かで、黙々としていて、 想像以上に一人で作業する時間が多かった。

同じ研究所の社員や、 寮で過ごす同期、先輩、後輩との関係は温かかった。

それでも、 仕事そのものでは新しい人と関わる機会がほとんどない。

幼い頃から飲食店で多くの人と接し、 部活でも仲間と一緒に動いてきたひまわりさんにとって、 その環境は少しずつ苦しさへ変わっていった。

このままで、いいのかな。

大手企業。 安定した待遇。 研究職。

周囲から見れば、 十分に恵まれたキャリアだった。

それでも、 自分の中にある違和感だけは 消えることがなかった。

社会人になって気づいたこと

条件が良い仕事と、 自分に合う仕事は必ずしも同じではない。 働いて初めて、自分が人との関わりを大切にしていることに気づいた。

06 転機〜現在
現在地

納得できる働き方は、
母校へ戻った先にあった

入社から3年。

ひまわりさんは、 「どんなことでも3年は続ける」 と自分の中で決めていた。

だからこそ、 すぐに辞めるのではなく、 その時間の中で自分なりの答えを見極めようとした。

研究に関する知識も技術も増え、 周囲から評価されることも増えていった。

それでも、 「このままでいいのか」という問いだけは残り続けた。

そんなある日、 久しぶりに母校・神戸高専を訪れた際、 偶然再会した先輩から声をかけられた。

「学校で働いてみない?」

その言葉を聞いた瞬間、 心が動いた。

愛着のある高専という場所。 人と関わりながら働ける仕事。 企業とのやり取りも多く、 自分が社会人として経験してきたことも生かせる。

研究職でもない。 営業職でもない。 人事でもない。

それでも、 「これは自分に合っているかもしれない」 と初めて自然に思うことができた。

現在は、 神戸高専の事務職員として、 企業訪問や企業説明会、 求人票の整理、 インターンシップの調整などに携わっている。

企業の担当者と話す。 学生や先生の反応を受け取る。 高専という学校の魅力を外へ伝えていく。

人とのやり取りが絶えない現在の仕事の中で、 ようやくひまわりさんは 自分が求めていた働き方に出会うことができた。

振り返れば、 これまでの経験は決してバラバラではなかった。

飲食店では人との関わり方や効率を考える力を学び、 バスケットボールでは仲間と動く楽しさを知った。

高専・専攻科では論理的に考える力を身につけ、 研究職では「自分に合わない環境とは何か」を知った。

一見すると遠回りに見えた経験が、 今の仕事の中で少しずつつながっている。

HIMAWARI'S CURRENT STORY

周りから見て「良いキャリア」より、
自分自身が「納得できるキャリア」を選ぶ。
その答えは、実際に歩いた先で見つかることもある。

飲食店、高専、専攻科、研究職、そして母校へ。
一つひとつの経験を重ねながら、
ひまわりさんは今、自分らしく人と関われる道を歩いています。

MESSAGE

同じようにキャリアの
分岐点に立っている方へ

高専卒のキャリアは一つではありません。
迷いながら選び直した先に、新しい挑戦が始まることもあります。

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